皆さんは『serial experiments lain(シリアルエクスペルメンツレイン)』というアニメをご存じでしょうか。
『serial experiments lain』は1998年にテレビ東京系列で放送されたテレビアニメです。
ネットワーク内の仮想空間を舞台としており、インターネット普及前の作品としてはかなり時代を先取りしていました。
放送終了から20年以上経過した今でもファンの間ではカルト的な人気を誇っている作品でもあります。
今回は『serial experiments lain』がどんな作品なのか、あらすじ・見どころ・見られる配信サービスなどをご紹介します。
serial experiments lain とは
『serial experiments lain』とは、アニメ・ゲーム・書籍などの複数媒体で同時進行で展開されたマルチメディア企画でした。それぞれの設定が微妙に違うものの相互的に補完する内容となってることが特徴です。
テレビアニメは、1998年にテレビ東京系列で全13話で放送されていました。
話数 | 全13話 |
---|---|
放送年 | 1998年 |
制作国 | 日本 |
制作会社 | トライアングルスタッフ |
監督 | 中村隆太郎 |
キャスト | 岩倉玲音:清水香里 岩倉康男:大林隆之介 岩倉美穂:五十嵐麗 岩倉美香:川澄綾子 瑞城ありす:浅田葉子 山本麗華:手塚ちはる 加藤樹莉:水野愛日 英利政美(デウス):速水奨 タロウ:滝本啓人 ミューミュー:山本有紀 マサユキ:藤間宇宙 |
外部リンク | 公式サイト |
脚本を務めるのは小中千昭さんです。ホラー作品を得意とし、ホラーの表現技法が「小中理論」と呼ばれるほどの第一人者です。また、特撮番組であるウルトラシリーズでは、幾度に渡って参加されています。
特にシリーズ構成を務めた『ウルトラマンガイア』やテレビアニメ『デジモンテイマーズ』では、子供番組でありながら『serial experiments lain』のような大人の世界観を持ち込む作風となっています。
監督を務めるのは中村隆太郎さんです。『キノの旅 -the Beautiful World-』や『サクラ大戦TV』などでも監督を務めており、素朴な映像の中に詩的・哲学的な文章を挿入するなど前衛的な表現を得意とする監督です。
脚本の小中さんと監督の中村さんは『serial experiments lain』の他にも、アニメ映画『キノの旅 病気の国 -For You-』やテレビアニメ『神霊狩/GHOST HOUND』でコンビを組み、詩的・哲学的なアプローチを試みています。
では、『serial experiments lain』とはどんな内容なのか、次章で詳しく見ていきましょう!
serial experiments lain のあらすじ

それでは、『serial experiments lain』を見ていきましょう!
ネットワーク社会。今よりも多少未来の東京のこと。
情報端末NAVIが普及し、テレビと同じくらいにメディアとしての力を持っている。人とコミュニケートするにはネットワークを通してがあたり前という時代。
NAVIを通して誰かと「つながる」ことで、無意識に「安心」という買い物をする、そんな時代。渋谷に遊びに行ったり雑貨を買い集めたりするのと同じ様に、まったく自然に携帯NAVIを使いこなす少女たち。
学校での噂話や流行の情報をやりとりする、そんな彼女たちにとってNAVIは友達と自分を結び付ける手段としてなくてはならないもの。肥大化した記録や情報と、拡大していくネットワーク。
現実世界での自分とは違う人格を設定してネットワークで行動することはもちろん、ネットワークの世界でしか存在しない「人種」も生まれ始める。
そして、やがて現れたのは、それを操作し、コントロールすることに利益と野心を見いだす者たち。
リアル・ワールドで、ワイヤードで、彼らは動き始める…。
situation|lain – NBCUni
主人公・岩倉玲音のNAVIに自殺したはずの友人からメールが届くところから物語は始まります。友人は肉体を捨てただけであり、ネットワーク仮想世界「ワイヤード」ではこうして存在していると話します。そして自殺した理由を玲音にこう話すのでした。
「ここには神様がいるの」
玲音はNAVIに興味を持ち始め、父親から最新式のNAVIを与えられます。最初は機械に疎かった玲音ですが見る見るうちに覚醒し、現実世界「リアルワールド」と仮想世界「ワイヤード」を行き来することができるようになります。
一方、玲音の周りでは不可解な事件が多発するようになります。それは玲音を利用してリアルワールドとワイヤードの境界をなくそうとする謎の組織「ナイツ」の暗躍によるものだったのです。
人は無意識のうちに繋がっているのか、繋がっていた方がいいのか。
ワイヤードやリアルワールドで起こる事件を通して玲音がどのように行動するのか、何を思うのかが焦点となる作品です。
serial experiments lain の見どころ
ここでは、アニメ『serial experiments lain』の見どころをご紹介します。
不思議な少女・岩倉玲音の魅力
岩倉玲音はどこにでもいるような地味系の中学生でコンピューターにも疎い少女でしたが、最新式のNAVIに触れることで徐々に才能を開花させ、ワイヤードの世界にのめり込んでいくキャラクターです。
岩倉玲音の不思議なところは、リアルワールドとワイヤードによってキャラが全然変わってしまうことです。
ワイヤードの「レイン」は、堂々としてきつい物言いをするなど、オドオドしているリアルワールドの岩倉玲音とはかなり違う印象を受けます。
岩倉玲音は、いわゆる「かわいい」少女とはまた違った魅力を持っています。素朴な雰囲気を醸し出し、時には核心を突く目が離せないキャラクターです。
仮想ネットワーク空間・ワイヤード
『serial experiments lain』の舞台となるのが、ネットワーク仮想空間「ワーヤード」です。ワイヤードとは、1990年代に発表された「メタバース」と呼ばれる概念の一種でもあります。
ネットワークの仮想空間において、人間をそのまま投影した存在であるアバターが現実社会のようにコミュニケーションを取っているという設定は、アニメ映画『サマーウォーズ』(2009年)などの作品で活かされています。
しかし、『lain』では『サマーウォーズ』よりもはるか昔の1998年という時代に既に先取りされていたことに驚きがあります。
しかも、ワイヤードは『lain』の重厚な世界観が相まって、よりリアリティのあるメタバースが再現されていることが特徴的です。
謎の組織 ナイツと橘総研の暗躍
『serial experiments lain』では、岩倉玲音の他にもナイツ・橘総研の暗躍が見どころとなっています。
ナイツとは、リアルワールドとワイヤードの境界を無くすことを目的とする謎の集団です。規模や実態などは不明で掴みどころが無く、ワイヤード上に存在する「神」を信奉するなど不気味さが伺える存在です。
ナイツは、目的達成のために玲音を利用し、ワイヤードでもリアルワールドでも奇怪な事件を引き起こします。
一方でナイツと敵対し、自らがワイヤードを支配しようと企むのが橘総合研究所、通称「橘総研」です。橘総研は、玲音に見張りをつけて常時監視するなど、ナイツに劣らず不気味な存在です。
玲音の周りではナイツと橘総研の暗闘が繰り広げられ、玲音も巻き込まれていくことになります。玲音の運命はどうなってしまうのか、ナイツと橘総研の動きに注目です!
まとめ
今回は『serial experiments lain』のあらすじや見どころについてご紹介しました。
この作品はストーリーが難解なこともあり、一方でファンから熱狂的な人気を得ていることもあって「カルトアニメ」と言われることもあります。
しかし、ストーリーは岩倉玲音という一人の少女を通して「人と人が繋がるということはどういうことか?」という問いに悩みながらも答えを出していくという非常に純粋な作品です!
『lain』はリアリティのある電脳世界の再現と岩倉玲音の純朴な可愛さが魅力となっています。是非、本編でチェックしてみて下さい!