『ジョジョの奇妙な冒険』とは、荒木飛呂彦先生による冒険アクション漫画です。
この作品は「ジョジョ」と呼ばれる主人公が次々に変わっていくことが特徴的です。しかし、主人公は変わりながらも「運命」「因縁」「血脈」といった変わらないものをテーマとしているまさに壮大な作品なのです。
その中でも、第4部にあたる『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』は一風変わっており、トリッキーな作品です。
それまでのジョジョが世界を巡る冒険譚であったことに対し、第4部では「杜王町」という町を舞台に日常活劇が展開されます。しかも、この杜王町は他作品にも大きな影響を与えることとなります!
杜王町とはどんな町なのでしょうか?
本記事では、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部について紹介し、杜王町に似ている町が登場する他作品との比較して考察します。
ジョジョの奇妙な冒険4部とは
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部は、1992年~1995年にかけて『週刊少年ジャンプ』にて連載され、単行本で言うと29~46巻の計18巻に相当します。
のちに『ダイヤモンドは砕けない』という副題が付けられ、2015年にテレビアニメ化、2017年には実写映画化がされているなどの人気を博しています。
また作中に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にしたスピンオフ『岸辺露伴は動かない』など多様な広がりを見せるシリーズとなっています。

それでは早速、ジョジョ第4部のあらすじを見ていきましょう!
1999年の日本を舞台に幕を開ける第4部で描かれるのは、杜王町(もりおうちょう)という限定空間で展開するサスペンス。
第4部 ダイヤモンドは砕けない|ABOUT|「ジョジョの奇妙な冒険」公式ポータルサイト
主人公は杜王町に住む高校生・東方仗助(ひがしかたじょうすけ)。
ある日、杜王町を訪れた空条承太郎から、仗助がジョセフの隠し子である事、仗助と町に危機が迫っていることを告げられます。
やがて二人はこの町にスタンド使いが増えている理由、その裏に潜む危険な敵の存在を知ることになります。
第4部では「杜王町」という架空都市が舞台となっています。
主人公の高校生・東方仗助は、「ジョジョ」と呼ばれるジョースター家の血を受け継いでいるジョセフ・ジョースターとその愛人であった母・朋子の間の息子です。
故に仗助も「ジョースター家の血」を受け継いでおり、「幽波紋(スタンド)」と呼ばれる特殊な能力を持っています。
物語はジョセフ・ジョースターの孫でスタンド使いでもある空条承太郎が杜王町の仗助を訪ねるところからスタートします。
承太郎と仗助は、杜王町にはスタンド能力を使う殺人鬼がいることを突き止めます。こうして仗助たちは杜王町に潜む殺人鬼に対峙していく、といったストーリーとなっています。
ジョジョ4部の見どころ
ここでは、第4部『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』の見どころを2点ご紹介します。
見どころ① コメディー要素あふれる日常アニメ
第4部以前の『ジョジョの奇妙な冒険』は敵を倒すために世界中を旅するという冒険活劇の要素が色濃く反映されました。
しかし、第4部では、杜王町に住むスタンド使いたちの日常劇がコミカルに展開されることが特徴です。
従来では戦いにのみ使われた能力ですが、杜王町ではスタンド能力によって料理を作ったり、エステを行ったり、町中の小銭を拾い集めると言った斬新な使われ方をしているのです。
そのためストーリーもギャグやコメディ色が強いため、今までとは違った楽しみができることが第4部オススメポイントです。
見どころ② 日常に潜む殺人鬼を描くサスペンスホラー
ジョジョ4部の魅力は愉快な日常活劇のみには止まりません。メインとなるストーリーは「日常に潜む恐怖」なのです!
杜王町には、吉良吉影という15年間連続殺人を繰り返しているシリアルキラーが登場します。吉良はスタンド能力によって人知れず殺人を行い、遺体も残さないため杜王町では大量の行方不明者が発生していることになっているのです。
東方仗助は吉良吉影を突き止めようと奔走しますが、「誰が犯人なのか分からない」「シリアルキラーは隣人かもしれない」という怖さが全編に渡って組み込まれています。
ジョジョ第4部の魅力は、日常に潜む殺人鬼の恐怖というサスペンスホラーです。これによってジョジョの面白さは更に増してきます!
杜王町とはどんな街か?
ここでは、ジョジョ4部の舞台「杜王町」とはどんな場所なのかについてご紹介します。
杜王町はM県S市のベットタウンであり、第4部の時代であった1990年代には人口が58,713人という中規模な地方都市です。元々は侍の別荘があった避暑地であったようです。
ベットタウンでありながら観光客も多く、恋人の待ち合わせ場所となっている「アンジェロ岩」などが観光名所として有名になっています。
一見すると普通で平凡な町なのですが、特殊能力を持ったスタンド使いや異常犯罪者が跋扈する奇妙な町でもあります。さらに行方不明者は全国平均の8倍以上というまさに恐怖の町でもあるのです。
そんな杜王町ですが、モデルは作者・荒木飛呂彦先生の地元・仙台市となっています。仙台市は「杜の都」とも呼ばれており、ここから命名されているようですね。
劇中の杜王町の地図も仙台市とかなり酷似しています。まさに仙台市はジョジョの聖地なのです!
遊戯王の童実野町と杜王町は似ている?
異常犯罪者が日常に潜む杜王町。実は、この設定は後続の作品にも大きな影響を与えています。
高橋和希先生の漫画『遊☆戯☆王』もその一つです。高橋先生はダーク・ファンタジー要素を持つ『ジョジョの奇妙な冒険』から強い影響を受けています。
特に初期遊戯王に登場する「童実野町」は杜王町にとてもよく似ています。童実野町には理不尽に暴力を振るう不良や爆弾魔や脱獄犯など杜王町を彷彿とさせる異常者が多く登場するのです。
さらに初期遊戯王はジョジョの絵柄に似ているため、より一層近いものに感じます。
また、この2作品はメインキャラクターの立ち位置や雰囲気も似ています。
ジョジョの奇妙な冒険 | 遊☆戯☆王 |
---|---|
東方仗助 | 城之内克也 |
広瀬康一 | 武藤遊戯 |
虹村億泰 | 本田ヒロト |
正義感のある不良の東方仗助と城之内克也、小柄で小心者な広瀬康一と武藤遊戯、アホっぽくて憎めない虹村億泰と本田ヒロトはそれぞれ対になるほどそっくりに見えます!
『遊☆戯☆王』では、東方仗助のような正統派の不良ではなく、小心者ながらやる時にはやる広瀬康一のようなキャラクターが主人公・武藤遊戯となっています。
仮面ライダーWの風都と杜王町は似ている?
2009年に放送された特撮番組である仮面ライダーシリーズ作品『仮面ライダーW』でもジョジョの杜王町によく似た架空都市「風都」が登場します。
風都は一見すると穏やかな街ですが、「ミュージアム」と呼ばれる敵組織が「ガイアメモリ」という危険なアイテムを売りさばいて暗躍していました。
ガイアメモリを使うと人間は超能力が身に付き、「ドーパント」という怪人に変身します。ストーリーは、主人公の私立探偵・左翔太郎は事件を調査し、仮面ライダーWとしてドーパントを探すというものです。
この「風都の住人の中にドーパントが紛れ込んでいる」という設定こそ、スタンド使いが潜む杜王町とかなり類似しています。
『仮面ライダーW』でプロデューサーを務めた塚田英明さんは少年漫画的展開を好んでいたようです。そのため、ジョジョの杜王町が「風都」の設定に活かされた可能性は高いと思われます。
ガイアメモリとスタンドは引かれ合う?
『仮面ライダーW』には続編にあたる漫画『風都探偵』があり、2022年10月にテレビアニメ化もされました。
敵組織「ミュージアム」崩壊後に新たに登場した謎の組織との対決が描かれ、『仮面ライダーW』にはない大人向けなダーティーな雰囲気が売りとなっています。
『風都探偵』でもジョジョの第4部を思わせるシーンが登場します。それは、敵組織の謎の人物・万灯雪侍の「ガイアメモリを持つ者同士は引かれ合う」というセリフです。
これは、ジョジョの第4部で間田敏和が言ったセリフ「スタンド使いはスタンド使いに引かれ合う」を想起させます。ジョジョではスタンド使いは引き合うようにスタンド使いに遭遇し、事件が起きます。
『風都探偵』でもガイアメモリを持つ左翔太郎が事件を調査すると、ガイアメモリに関連する事件に遭遇してしまうのです!
ちなみに、『風都探偵』の万灯雪侍役は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズで空条承太郎役を演じた小野大輔さんが演じています。
小野さんの口から「ガイアメモリを持つ者同士は引かれ合う」というセリフが飛び出すとは、奇妙な縁を感じずにはいられません!
まとめ
今回は『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部『ダイヤモンドは砕けない』のあらすじ・見どころをご紹介し、舞台となる杜王町の特徴や他作品との類似点を考察しました。
杜王町はどこにでもあるような普通な町のようで、実は異常犯罪者が潜み、誰にも知られずに殺人が行われているという恐怖の町でもありました。
この架空都市の日常の中に異常犯罪者が紛れ込んでいるという設定は『遊☆戯☆王』や『仮面ライダーW』といった後続作品へも強い影響を与えていました。
日常に潜む恐怖。杜王町で描かれたストーリーは、もしかしたら自分の周りにもあるかもしれないという親近感を抱かせているのかもしれませんね。
杜王町でどんな奇妙な出来事が起こるのか、是非『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』の漫画・アニメ作品をチェックしてみて下さい!